先日、5月27日朝、9時からEテレで放送した日曜美術館は大変、見ごたえのある放送でした。
内容は鉛筆のみで作品を描く、画家木下晋さんの制作風景から作品についてです。勿論画家ご本人も出演されておられました。管理人も美術雑誌ではその作品を見た事がありましたが、テレビ放送とは言えじっくりと作品世界の拝見をしたのは初めてでした。
 
 

 
 
目をみはる描きこみや「しわ」の迫力、モチーフを真正面から描き切ろうとする意志の強さ、鉛筆で黒く塗り潰された事で醸し出される、情念の込めれた様な闇。
それらのもつ力が迫力を持って迫ってくる感じがします。
 
 

 
 
放送では、木下さんの制作している環境も放送されました。
古い公団住宅の一室をアトリエにされおられました。
あたりにぎっしりと置かれた本や資料の山。そんなの中、べニア板に画びょうで紙を張り付け制作している情景は、飾らない素朴なお人柄を想像させます。
 


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放送で制作しておられたのはハンセン病と闘った詩人桜井哲夫さんの肖像です。
放送では桜井さんの人生についても触れられました。その苦闘の人生について木下さんが
どの様に思い、どう制作に結びつけているかなどの思いも語られていました。
 
 
病気により一生のほとんどを療養所で過ごさねばならなかった詩人の孤独。
その孤独な肖像を緻密に鉛筆で描き込む行為は、実は制作者である木下晋さん自身の
孤独や苦悩を合わせ昇華していく過程ではないだろうか。
放送を見てそんな印象を持ちました。
 
 
放送はこの記事を書いている本日(6月3日)日曜、夜8時からの日曜美術館で再放送されます。美術ファンのみならず孤独や苦悩を抱える総ての人が見て心に響く放送だと思います。
 
「孤独な魂を癒す孤独な魂」
 
真に孤独を知ってる者だけが、唯一他の孤独な魂を癒せる・・・。
そんな事を思った放送でした。
 
 
資料紹介:現在入手可能な木下晋さんの画集
生の深い淵から―ペンシルワーク
祈りの心―木下晋画文集