桜井考美 輝 緑と水と太陽
題名 輝(緑と水と太陽) 1997(平成9年)年制作 櫻井考美
 
読売新聞・額絵シリーズの七回目の配布は、櫻井考美と谷川泰宏です。両作品とも制作は平成に入ってからになります。ここまでご紹介してきた額絵シリーズ作品の中で平成に入ってからの作品をご紹介するのは初めてだと思います。
 


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まず、櫻井考美の作品「輝(緑と水と太陽)」からご紹介します。
強烈な色彩で描かれた太陽と富士山、そしてその裾野に広がる緑と豊かな湖。
画家が自然のもつエネルギーを全身で受け止めそれをそのままキャンバスに向けて放射した様な力づよい画面になっています。
 
小手先の技法や様式に囚われる事なく、感じ取った素直な喜びや感動を直接的に表現するその姿勢は「人間が何かに感動し、それを表現する」と言う行為そのものをも象徴的に表現しているようでもあります。またこの作品からは原始的で素朴な喜びの様なものも感じられ、人間精神の根源的な部分をも表現している作品になっています。
 
谷川泰宏 不二蒼龍
題名 不二蒼龍 2011(平成23年)年制作 谷川泰宏
 
この作品の解説を読むと「龍と富士山」と言う組み合わせは江戸時代初期の狩野探幽が描いた水墨画が始まりだそうです。この作品もそうした伝統的テーマに沿って描かれています。しかし富士山や龍を始めとする絵画的な表現は今を生きる現代人の表現そのものになっています。
 
「日本を象徴する富士山を描く」というテーマを考えた時に画家は当然、伝統と言うものも考慮したと思います。しかしまったく過去の画家たちと同じ事を繰り返していては今を生きる現代人としての絵は生まれきません。
「伝統を踏まえつつ新しい創造を積み重ねていく」
この絵からはそんな過去から現在そして未来へ続く画家たちの歩みの様なものを感じます。