川端龍子 創夜
題名 創夜 1934(昭和9年)年制作 川端龍子
 
読売新聞・額絵シリーズの八回目の配布は、川端龍子(りゅうし)です。今回の配布は川端龍子の二作品のみの配布になっています。大画面かつ奔放な作風は大変見応えがあります。
 
まずは、「創夜」からご紹介します。目の覚めるような群青色が美しい作品です。非常にシンプルな構成になっていますが富士の大胆な配置と背面の柔らかい雲の対比が面白く、且つまた奥行きを感じさせます。
 
この「創夜」と言う題名は自然が作り出す「夜」と言う意味が込められているそうです。そのタイトル通りこれから始まる夜の空気感を見事に捉えており自然の営みの雄大さが伝わってきます。また、この構成は尊敬していたという葛飾北斎の冨嶽三十六景の「赤富士」からの影響もあるとの事です。


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川端龍子 怒る富士
題名 怒る富士 1944(昭和19年)年制作 川端龍子
 
「怒る富士」と言うタイトル通り、雷鳴と、のた打ち回る様な不気味な黒い雲が不穏なイメージを感じさせます。一見無造作に描かれている金彩の稲妻はさらに画面に緊張感を与えており、ただ事でない「自然の怒り」の様なものを表現している様です。
 
この作品が制作された昭和19年は太平洋戦争の末期にあたり敗戦の色が濃くなってきた頃になります。またこの時期、龍子は妻と三男を喪っているそうです。そうした苦難に立ち向かい打ち勝とうとする気持ちから「怒る富士」という画題に取りん組んだと言われています。