小野竹喬 春朝
題名 春朝 1972(昭和47年)年制作 小野竹喬(ちっきょう) 
 
ずいぶん間が空いてしまいましたが、読売新聞・額絵シリーズ「巨匠たちの富士」シリーズの第三回目の配布分をご紹介します。三回目は小野竹喬(ちっきょう)と中島千波です。
 


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まず上の小野竹喬の「春朝」からご紹介します。前面に描かれた木は「富士桜」と呼ばれている桜の木で、背景の雪をかぶった雄大な富士の姿とのコントラストがみごとな構図になっています。この構成は青年時代に見たセザンヌの「サント・ヴィクトワール山」を描いた作品から想を得ているそうです。
 
解説によるとこの作品は竹喬83歳の作品だそうです。すでに老境にさしかかり病を得た体で制作された作品だそうですがその様な事を微塵も感じさせない瑞々さと清明な空気に満ちた作品に仕上がっています。
 
中島千波 富士夜桜
題名 富士夜桜 2000(平成12年)年制作 中島千波
 
こちらの作品も竹喬の「春朝」と同様富士と桜を題材にしていますが、一転して夜の風景です。昼間咲く桜の風景も清らかで良いのですが夜などライトアップされた桜は幻想的で妖艶なイメージがします。そんな事もあるのかこの作品の作者中島千波は青年時代にルネ・マグリットなどシュールレアリスムの作家に傾倒したそうです。
 
竹喬の場合もそうですが中島千波を含め近現代の日本画家たちは西洋芸術とどこかで対峙し自分なりの答えを模索する中で新しい日本画を創りあげていったのでしょう。その様な視点で見ると「西洋と東洋」「朝と夜」など対立するものの中から新しい何かが生まれるのかもしれない・・・などと思わせてくれる興味深い二作品でした。