マニエール・ノワールマイスター 長谷川 潔・・・

 

 

マニエール・ノアールは黒の技法と訳されるが、

私の記憶によると「黒の魔術」とも言われていた様に思う。

勘違いか記憶違いかもしれないが、この「黒の魔術」と言った方が

長谷川 潔の作品を語る上でふさわしい様に思う。

マニエール・ノアールは所謂メゾチントのフランス語である

私はこのフランス語のノアールと言う響きが好きだ。

ノアール=黒

まさに長谷川 潔はノアールの魔術師なのである。

上の作品は「飼い慣らされた小鳥」と言う作品であるが。

 

しっとりとした明暗、

コップの水の透明感、

チェス盤の白と黒とのコントラスト

中空をじっと見つめる小鳥、

閉鎖された静かな空間の中で日常とはかけ離れた小さなパラダイスを形づくる。

 

長谷川が周到に仕掛けた黒い魔術である。

 
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この本「白昼に神を視る」の題名は

長谷川が経験したある白昼夢に由来している。

 

ある日の散歩の途中に何時も見慣れている街路樹が突然長谷川に話しかける・・・
 

「ボンジュール ムッシュ」

「ボンジュール」思わず長谷川も答える
 

そして街路樹との対話が始まる・・・

 
この時の街路樹との対話が、自然や宇宙を理解するきっかけとなったと言う。

この体験は後の作品づくりの大きなヒントになっている。

長谷川の作品がどこか神秘的で魔術的なのは

そんな自身の体験にも由来している。

生涯をフランスで閉じたこの版画家の作品が

時間と空間を超えて現代の私たちに静かに語りかける・・・

 

「ボンジュール ムッシュ」

 

長谷川の黒い魔術は今も健在である。

 
 
長谷川潔作品集

長谷川潔 白昼に神を視る/長谷川仁、竹本忠雄、魚津章夫/共編