全ての芸術の最も純粋な形・・・パウル・クレー

クレー はじまりのポエジー (パウル・クレー)1879-1940 スイス

誰もが子供の頃に思い描く様な未分化なイメージをモチーフに、幻想的で深みのある表現主義的絵画を多数制作した。さらに、音楽や文学にも関心を抱きそれらから得たイメージを絵画的表現へと昇華する事で作品を成り立たせようと試みた。また、カンディンスキーらと共にバウハウスの教官を勤めた事でも知られている。


 

いにしえの響き
クレーの作品の魅力は言葉にする事が大変難しい。それは、クレーが音楽を愛し自らも演奏していた事と無関係では無いようだ。音楽の魅力・・・。その、言葉では表現しにくいが確かに存在しているものを、色彩に置き換えようとした一つの試みが、上の作品「いにしえの響き」である様に思われる。矩形に区切られたそれぞれの色面が互いの色に響き合い、リズムを奏で、心地良い感覚で画面を満たしている。また、全体的なフォルムや塗り重ねられた絵具の厚みなどがクレー自身の手の「ゆらぎ」を感じさせ、見る者に不思議な安らぎを感じさせる。
 

金色の魚
この作品、「黄金の魚」は見る人にそれぞれの思いを創造させる源となる様な作品である。多分それはこの絵の舞台となっている、青い深海の様な風景と、人の心がもっている普段は意識しない心の底の風景が似ているからかもしれない。心の奥底や光の届かない深海の世界で突然黄金に輝きだす魚、それは人によっては「ひらめき」あるいは「希望」、またあるいは、「答え」などを象徴しているものかもしれない。はたして、クレーの心の奥底で、仄かに輝きだしたこの魚はいったい何を象徴していたのだろうか?
 

夜の分離
夜=暗闇、朝=光、この絵「夜の分離」はそんな、夜と朝の境界線を区切って、区切って、無限に区切っていったら、夜と朝の境界は一層あいまいになっていくという、一種の科学的?な不思議な世界を絵にした様に感じる。また、水彩で描かれたと思われる色面の帯のグラデーションと全体的な色彩の微妙なニアンスは作品に何とも言えない深みを与えている。ジッとこの絵を眺めていると、夜から朝になる時の地球の動きさえも感じられる不思議な感覚に囚われる。
 

パルナッソス山へ
この絵のタイトルのパルナッソス山とは古代神話の中でアポロ神が祀られた山であり、また「音楽と詩」の聖地とも言われているそうだ。音楽と詩の聖地という設定はクレーの創作意欲を大いに刺激したのだろう。「音楽と詩」そこに絵画を加えても良いと思うがこの絵を構成している、細かな色の矩形がまさに、音楽で言えば一音一音、詩で言えば一文字一文字、絵画で言えば、一筆一筆を象徴しているのだろう。そして丹念に時間を掛けてそれら一つ一つを積み重ねていった時、始めて全体から立ちあがって来るもう一つの素晴らしい世界。それこそ全ての芸術家が目指す理想郷と言えるだろう。
 

甘く苦い鳥
この作品のタイトル、「甘く」と「苦い」は正反対の感情である。クレー絵画の解説本など見ると、中央の人の顔の様な造形は「死」を象徴していると言う。その死を象徴する人物の左右に甘さと苦さを象徴する造形を配置したのだろう。しかし、この作品を見ていても、その様な予備知識が無いと具体的には読み解く事はできないだろう。むしろ、ストレート見てみると、黒い線の造形が何か暗号の様な感じがする。その暗号の意味する所が「謎」の様に思えて絵の神秘性をより高めている。そう言った意味でむしろ予備知識を持たずにこの絵を見てクレーが投げかけた謎解きを想像してみるのも面白い見方かもしれない。
 
クレー作品一覧


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